こんにちは。沖縄でRC(鉄筋コンクリート)住宅の設計をしている、すけです。
前回、「子ども部屋は、最初から個室に区切らず、まずは広いリビングとして造っておき、あとから間仕切って小分けにする」というお話をしました。実はこの考え方には、建築の世界でちゃんとした名前がついています。それが「スケルトン・インフィル」です。今日は、この考え方についてくわしくお話しします。
スケルトンとインフィル、それぞれ何のこと?
スケルトンとは、柱や梁、床、外壁といった、家の骨組みとなる構造の部分のことです。人でいうなら、骨格にあたる部分です。
インフィルとは、間仕切り壁や内装、キッチンやお風呂などの設備といった、あとから変えられる部分のことです。人でいうなら、着ている洋服にあたる部分だと考えると、わかりやすいかもしれません。
体つき(骨格)はそう簡単には変わりませんが、洋服は季節や気分に合わせて着替えられます。家も同じように、「骨組み」と「中身」を分けて考えることができるのです。
なぜ、分けて考えると良いのか
家族の形は、何十年もの間に、少しずつ変わっていきます。子どもが生まれて増える、子どもが独立して減る、親と同居することになる。こうした変化は、誰にでも起こりうることです。
もし、骨組みと内装がガチガチに一体化して造られていたら、家族の形が変わるたびに、大きな工事をしなければなりません。壁を壊すにも、柱や梁を傷つけないように、慎重に、大がかりに進める必要が出てきます。
ですが、骨組み(スケルトン)さえしっかりしていれば、間仕切り壁や内装(インフィル)だけを変えることで、家族の変化に対応できます。柱や梁に手を入れる必要がないので、工事も比較的シンプルで済みます。
前回の「広いリビング」も、実はスケルトン・インフィルの発想
前回の記事で、「子ども部屋は最初から区切らず、まずは広いリビングとして造っておき、必要になったら間仕切って部屋を増やす」というお話をしました。
これはまさに、スケルトン・インフィルの考え方そのものです。柱や梁といった骨組み(スケルトン)は変えずに、間仕切り壁(インフィル)だけをあとから足す。この順番だからこそ、無理なく、必要なタイミングで、必要な分だけ間取りを変えることができるのです。
最初から全部を決めきってしまうのではなく、骨組みに余力を持たせておく。それが、将来の変化に強い家づくりにつながります。

リフォームのしやすさは、一生涯のコストにも関わってくる
これまでの記事でお話ししてきた「一生涯のコスト」という視点でも、スケルトン・インフィルの考え方は大切です。
骨組みがしっかりしていれば、内装や設備だけを直すリフォームで済みます。壁紙を張り替える、キッチンを新しくする、間仕切りを動かす。こうした工事は、家を建て替えるのに比べれば、ずっと少ない金額で済みます。
逆に、骨組みと内装が分けて考えられていない家は、ちょっとした変化に対応するだけでも、大がかりな工事が必要になり、結果としてお金がかさんでしまいます。

RC住宅は、スケルトン・インフィルととても相性が良い
私が沖縄でRC(鉄筋コンクリート)住宅を手がけている理由のひとつが、ここにあります。
RC造の建物は、木造に比べて、骨組みがとても丈夫で長持ちします。しっかりとした骨組みを最初に造っておけば、その後、何十年にもわたって、中身(インフィル)だけを住む人に合わせて変えていくことができるのです。
丈夫な骨組みの中で、家族の形に合わせて、間取りを自由に変えていく。これこそが、子や孫の代まで住み継いでいける、本当の意味での「コスパ最強の家」の姿だと、私は考えています。
家は3回建てて、初めて理想の家になる
「家は3回建てて、初めて理想の家になる」という言葉を、聞いたことがある方もいるかもしれません。
なぜ、そう言われるのでしょうか。子どもが小さい時期、子どもが中学生・高校生になり受験に向き合う時期、子育ても親の介護もひと段落している時期、親のことを考え始める時期、そして自分たちの老後を考える時期。人の暮らしは、だいたい10年単位で、必要なかたちがガラッと変わっていきます。
初めて家を建てる人にとって、こうした先々の変化を、すべて予想することはできません。それは、設計をするプロである私にとっても、同じです。10年後、20年後、家族がどんな暮らしをしているか、正確に言い当てられる人はいないのです。
スケルトン・インフィルという造り方は、決して見た目のデザイン性が高いわけではありません。ですが、これから先、何度も訪れる暮らしの変化に、そのつど対応していける造り方です。「予想できないなら、無理にでも予想する」のではなく、「予想できなくても、あとから変えられるようにしておく」。この発想が、家づくりの悩みを、できるだけ小さくしてくれるのだと思います。
まとめ ― 骨組みは丈夫に、中身は自由に
家づくりというと、つい「完成した間取り」をイメージしがちです。でも、家族の形は、これから何十年もの間、少しずつ変わっていきます。
だからこそ、骨組み(スケルトン)はしっかりと丈夫に造り、間仕切りや内装(インフィル)は、あとから自由に変えられるようにしておく。この考え方を持っておくだけで、将来、必要以上のお金をかけずに、家族の変化に対応できるようになります。
「今」だけでなく、「これから」も見据えて家を考えること。それが、一生涯のコストを抑えながら、長く愛される家をつくる、いちばんの近道だと思います。
次回予告 ― 二世帯住宅、親との同居を見据えた間取りとは
今日、家族の変化の例として、「親と同居することになる」というケースに少し触れました。実は、この「同居」というテーマこそ、スケルトン・インフィルの考え方が一番力を発揮する場面のひとつです。
同居は、ある日突然決まることも少なくありません。そのとき、骨組みに余力を持たせておいた家であれば、大がかりな建て替えをしなくても、間取りを工夫することで対応できます。逆に、最初から何も考えずに建てた家だと、いざ同居となったときに、大きな追加工事や、住みにくさに悩まされることになりかねません。
次回は、「二世帯住宅、親との同居を見据えた間取り」というテーマで、どんな間取りにしておくと将来の同居に無理なく対応できるのか、具体的に考えていきたいと思います。

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【2026年8月更新】
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「広さに縛られず、豊かで価値の続く住まいを」
その想いを共有できる方との、丁寧な家づくりを楽しみにしております。
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スケルトンが提案する家づくり
私たちの設計事務所では、単にデザインだけでなく、そこで営まれる家族の生活を中心に据えた家づくりを行っています。
専門家としての経験に基づき、私たちがお客様に提案する設計の柱は以下の4点です。
1. 本質を見据えた無駄のない設計
お客様のご要望を丁寧に汲み取り、本当に必要なものだけを取り入れた、シンプルで機能的な空間を設計します。家族それぞれの生活スタイルや趣味を尊重しながら、日々の家事動線や家族の目線が交わる快適な間取りを実現します。
2. 将来の変化に寄り添う可変性(スケルトン・インフィル)
子どもたちの成長や独立など、ライフステージの変化に合わせて柔軟に間取りを変更できる設計を心がけています。20年後、30年後も家族の成長に合わせ成長していく建物。そして長く安心して住み継げる資産価値の高い家を提供します。
3. 家族の命と暮らしを守る確かな性能
目に見える意匠性と同じくらい、建物の基礎となる骨格の性能を重視しています。高い耐震性と省エネ性を兼ね備え、近年の気候変動や自然災害からも家族の命と健康を守る、安全で環境に優しい住まいを構築します。
4. 子育て・二世帯住宅の当事者だからできる提案
私自身、4歳と6歳の娘を育てる父親であり、同時に自ら二世帯住宅に暮らす当事者でもあります。現在進行形で子育て世帯のニーズや悩みに向き合い、二世帯同居ならではの奥様のストレスや課題に対する具体的な解決策を持ち合わせています。実体験に基づいたリアルな視点で、親世帯・子世帯の全員が笑顔で暮らせる環境をご提案します。
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