こんにちは。沖縄でRC(鉄筋コンクリート)住宅の設計をしている、大城です。
「とにかく安く家を建てたい」――そんな声を、よくいただきます。
その気持ち、とてもよくわかります。でも、家は安さだけで選んでしまうと、あとになって損をすることがあります。
多くの人は「コスパがいい家」と聞くと、「今、安く建てられる家」を想像します。でも、それは半分正解で、半分は間違いです。
今日は、「家は安さで選ぶと損するのか?」という問いをきっかけに、「コスパ最強の家」の本当の意味について、できるだけわかりやすくお話しします。
「コスパがいい」の本当の意味
コスパとは「コストパフォーマンス」の略で、「払ったお金に対して、どれだけ得をするか」という意味です。
たとえば、1000円のおもちゃがすぐ壊れてしまうのと、3000円のおもちゃが10年間ずっと使えるのとでは、どちらがコスパがいいでしょうか。
一回だけの値段で比べると、1000円のほうが安く見えます。でも、10年間使えることを考えると、3000円のおもちゃのほうが、実は得なのです。
家も、これとまったく同じ考え方をします。
家の値段は「建てるとき」だけでは決まらない
家は、建てたら終わりではありません。人が何十年も住み続ける場所です。そして住んでいる間、家は少しずつ傷んでいきます。
- 屋根から雨がしみこんでこないように、防水の工事をする
- 外側の壁が汚れたり、ひびが入ったりしたら、塗りなおす
- 水回りやお風呂など、古くなった設備を新しくする
こうした「あとからかかるお金」を、専門的にはライフサイクルコストと呼びます。ライフサイクルとは「一生」という意味です。つまりライフサイクルコストとは、「家が生まれてから、その役目を終えるまでにかかる、すべてのお金」のことです。
コスパ最強の家とは、この「一生でかかるお金」がいちばん少なくてすむ家のことなのです。今、建てるときの値段だけを見て「安いから得」と考えるのは、実は早とちりかもしれません。
おじいちゃんの家、お父さんの家、そして自分の家
想像してみてください。
もし今建てる家が、あなたの息子や娘、そしてそのまた子どもへと、何十年も受けつがれていく家だったら、どうでしょうか。
「この家、まだまだ丈夫だから使いたい」「おじいちゃんが大事に建てた家だから、ずっと住みたい」
たとえば、こんな場面を思い浮かべてみてください。
50年前、おじいちゃんが家を建てました。当時、少し予算に余裕があったので、「どうせなら」と、質の良いコンクリートを使い、屋根の防水もしっかりしたものを選びました。
時がたち、お父さんの代になったころ、外壁の色が少し古びてきたので、塗りなおしをしました。骨組みがしっかりしていたので、大がかりな工事にはならず、内装も新しくして、住み心地はむしろ良くなりました。
そして今、その孫にあたる息子が、ふと家を見上げてこう言います。
「この家、まだまだ丈夫だし、おじいちゃんやお父さんとの思い出もたくさんある。壊さずに、これからも手を入れながら住み続けたい」
息子は、家を継いだことで、新しく家を建てる必要がなくなります。本来であれば住宅ローンとして何千万円もかかっていたはずのお金が、まるごと浮くのです。
そのお金を、たとえば自分が始める商売の設備投資にあてたり、いろいろな国や場所へ旅に出て見聞を広めたりすることに使うこともできます。子どもがいれば、その分を教育資金にまわして、進学や留学の選択肢を広げてあげることもできるでしょう。家にかけるはずだったお金を、自分や家族の未来や挑戦のために使えるということです。
これこそが、コスパ最強の家が生み出す、本当の価値です。値段では測れない「安心」と「思い出」だけでなく、次の世代が新しい一歩を踏み出すための「元手」までも、何世代にもわたって受け継がれていくのです。
そんなふうに、家族から家族へと引きつがれていく家こそ、本当の意味での「コスパ最強の家」です。
古くなったら壊してまた新しく建てる家ではなく、直しながら、大切に長く住み続けられる家。これが、私が考える理想の家です。
「お化粧直し」と「新築」はぜんぜん違う
「でも、長く住んでいたら、リフォーム(修理やお化粧直し)にお金がかかるんじゃないの?」
そう思う人もいるでしょう。たしかにリフォームにはお金がかかります。でも、安心してください。リフォームは、新しく家を建てるのとは、かかるお金がぜんぜん違います。
家の骨組み(コンクリートの構造部分)がしっかりしていれば、直すのは主に内側の壁紙や床、キッチンやお風呂といった「見た目や使い心地」の部分だけで済みます。骨組みから全部作り直す新築とくらべたら、ずっと少ないお金で済むのです。
しかも、リフォームのときに新しい設備に交換すれば、建てたときよりも性能がグレードアップします。最新のお風呂や、省エネのキッチンに変えられるのは、リフォームならではの良いところです。
最初にお金をかけると、あとがラクになる
ここで大事なポイントをお伝えします。
家を建てるとき、少しお金をかけて、良いものを選んでおくと、そのあと長い間、メンテナンス(手入れ)をしなくてすむようになります。
たとえば、
- 屋根に、質の良い防水塗装をしておく
- 外側の壁に、長持ちする塗料を使う
こうした工事は、最初は少し値段が高く感じるかもしれません。でも、質の良いものを選んでおけば、次に塗りなおすまでの期間がぐんと長くなります。5年に一度塗りなおす壁と、15年に一度でいい壁とでは、一生の間にかかるお金の合計が、大きく変わってくるのです。
もし今、少し余裕があるなら、質の良いものを選んでおくほうが、結果として得をする。これが、ライフサイクルコストで家を考えるということです。
まとめ ― 「今の値段」ではなく「一生の値段」で考えよう
冒頭で、「家は安さで選ぶと損するのか?」という問いを投げかけました。ここまで読んでいただいた方なら、もうお分かりだと思います。建てるときの値段の安さだけを見て選んだ家は、長い目で見ると、かえって多くのお金がかかってしまうことがあるのです。
家づくりを考えるとき、多くの人はどうしても「今いくらかかるか」ばかりに目がいきがちです。もちろん、それも大切なことです。
でも、家は何十年も、ときには何世代にもわたって使うものです。だからこそ、
- 今の建築費だけでなく、これから先のメンテナンス費用も含めて考える
- 最初に少し良いものを選んで、メンテナンスの回数を減らす
- 子どもや孫の代まで、大切に住み継いでいける丈夫な家にする
こうした視点を持つことが、本当の「コスパ最強の家」への近道です。
家は、一度きりの買い物ではなく、家族の歴史をつくっていく場所です。目先の値段だけでなく、一生を通じてどれだけ得をするかという視点で、あなたの家づくりを考えてみてください。
次回予告 ― 家を建てるプロは、自分の家をどう建てるのか?
ここまで、「一生でかかるお金を減らす」という視点でコスパ最強の家についてお話ししてきました。実はこの考え方をつきつめていくと、もう一つ大事なテーマにたどり着きます。それは、**「造りすぎない」**ということです。
面白いことに、これまで何百件もの住宅を手がけてきた建築士の多くが、口をそろえてこう言います。
「家は、造りすぎないほうがいい」
収納は多ければ安心と思われがちですが、実はスペースがあるぶん物が増え、使わない物のために建築コストが上がってしまいます。憧れのベランダや屋上テラス、開放的な吹き抜けも、本当に自分たちの暮らしに必要かどうかを考えると、答えは意外と違うかもしれません。
次回は、「家を建てるプロの建築士は、自分の家をどんなふうに建てるのか?」というテーマで、この「造りすぎない家」についてくわしくお話しします。今の家づくりのヒントになれば嬉しいです。
【新規受付】いつもブログをご覧いただいている皆様へ
【2026年8月更新】
現在、多くのご相談をいただいており、直近でご着手いただける枠は予定数に達したため、新規のご相談を一時的に限定させていただいております。
これは、すでに設計を進めているお客様の家づくりに、質を落とすことなく一棟一棟丁寧に向き合うための判断です。私たちは棟数をこなす量産型の家づくりではなく、クオリティを最優先にしているため、多くの案件を同時に並行して進めることはいたしません。
そのため、現在は当事務所の家づくりの考え方に共感してくださり、9月から10月以降のご着手をお待ちいただける方に限定して、ご相談を承っております。
なお、9月以降の枠につきましても、ご予約をいただいた順にご案内しております。着手が9月以降をご予定の方も、余裕を持って早めにご相談のご予約をいただけますと幸いです。
「広さに縛られず、豊かで価値の続く住まいを」
その想いを共有できる方との、丁寧な家づくりを楽しみにしております。
【お問い合わせ】
スケルトン メールアドレス sukeruton.sekkei@gmail.com
個人ブログでは面白おかしく、沖縄あるある 住宅事情 を発信しております。
興味がありましたら見てみてください。

スケルトンが提案する家づくり
私たちの設計事務所では、単にデザインだけでなく、そこで営まれる家族の生活を中心に据えた家づくりを行っています。
専門家としての経験に基づき、私たちがお客様に提案する設計の柱は以下の4点です。
1. 本質を見据えた無駄のない設計
お客様のご要望を丁寧に汲み取り、本当に必要なものだけを取り入れた、シンプルで機能的な空間を設計します。家族それぞれの生活スタイルや趣味を尊重しながら、日々の家事動線や家族の目線が交わる快適な間取りを実現します。
2. 将来の変化に寄り添う可変性(スケルトン・インフィル)
子どもたちの成長や独立など、ライフステージの変化に合わせて柔軟に間取りを変更できる設計を心がけています。20年後、30年後も家族の成長に合わせ成長していく建物。そして長く安心して住み継げる資産価値の高い家を提供します。
3. 家族の命と暮らしを守る確かな性能
目に見える意匠性と同じくらい、建物の基礎となる骨格の性能を重視しています。高い耐震性と省エネ性を兼ね備え、近年の気候変動や自然災害からも家族の命と健康を守る、安全で環境に優しい住まいを構築します。
4. 子育て・二世帯住宅の当事者だからできる提案
私自身、4歳と6歳の娘を育てる父親であり、同時に自ら二世帯住宅に暮らす当事者でもあります。現在進行形で子育て世帯のニーズや悩みに向き合い、二世帯同居ならではの奥様のストレスや課題に対する具体的な解決策を持ち合わせています。実体験に基づいたリアルな視点で、親世帯・子世帯の全員が笑顔で暮らせる環境をご提案します。
すぐに設計に取り掛かることはできないのですが、事前相談は無料なので、お気軽にご連絡ください。
↓建築設計事務所スケルトン の お仕事





