沖縄のコンクリート住宅に最適な建築スタイル:スケルトン・インフィル

設計のヒント
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こんにちは!建築士の私が今日は「スケルトン・インフィル」という建築の方法についてお話しします。この方法は建物を作る際に使われる考え方の一つです。

では、解説していきます。

沖縄の建築において、コンクリート住宅が非常に一般的です。その理由は、風が強く、時には台風があるため、建物には強度と耐久性が求められるからです。そんな沖縄において、スケルトン・インフィルという建築手法が注目されています。

スケルトン・インフィルとは?

スケルトンとは何か? まず「スケルトン」とは、建物の骨組みのことを指します。これは建物の基本的な構造で、まるで人間の骨格のように、建物を支える大切な部分です。このスケルトンがしっかりしていれば、建物は安定し、長持ちします。骨格は変えることが出来ないため、長く使える強固な材料が向いています。鉄筋コンクリートはとても強固な材質で、100年持つとも言われています。

インフィルとは何か? 次に「インフィル」とは、そのスケルトンの内部資材の部分、つまり壁や天井、キッチンなどの住設機器のことです。このインフィル(内部資材)は、それぞれで耐用年数が違ってきますが、内部資材は大体20年~30年で取替の時期がやってきます。インフィル(内部資材)に関しては、劣化したら取り変えることができるので、建物の見た目や機能を簡単に変更できます。


日本の住宅寿命は30年?

例え話ですが、

床が長年の劣化やシロアリなどで腐れて、ふにゃふにゃになりました。皆さんはどうされますか?
40歳の時に家を建てて、築30年程(年齢70歳)経っているとどうでしょうか?


・もう建物も古いし、あちこちボロボロだから売って賃貸にも暮らすか?
・息子や娘に帰ってきてもらって、二世帯住宅建て直ししてくれることを期待して、現時点での生活に支障がないのであれば、直さないのでは無いでしょうか?

また、日本国内で一番多く建てられている建物構造は木造です。木造住宅は耐用年数が30年と言われています。メンテナンスさえ定期的にやっておけば100年以上持つ木造の建物は古民家と言われるものや、お寺など、たくさんありますが、日本の方は、外国の方と違い、ご自分で建物のメンテナンスやDIYをすることをしません。



なぜ日本人はメンテナンスしないのでしょうか?

外国の方、特に欧米では、
中古物件を買って → 売る → また別の建物を買って住む
を繰り返し、古い物件でも売り物として需要があり、資産価値があります。
もちろん家の持ち主は、転売時に高い値段で買ってほしいので、定期的にメンテナンスして大切にします。20年住んで、転売時に、買った当時より高い値段で売れたと言う事もザラと聞きます。

日本の中古物件売買の実状は、30年経った中古物件に価値が無いとされていますので、この家にお金を掛けても意味が無いと思っている方が多く、メンテナンスをしない日本人になっていると思われます。

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木造住宅の耐用年数は30年

日本は、地震や自然災害が多く、倒壊しなくても、外壁に亀裂が入ったり建物の骨格自体に損傷を受けることもしばしばあります。木造の場合は、損傷があった柱を取り替えたり、補強工事を行うことも容易ですが、日本の方は建物自体を解体してしまいます。木造住宅の耐用年数は30年とは、取り壊した物件の平均築年数であり、100年以上残っている古民家などは全く計算にいれられていません。



インフィル(内部資材)の耐用年数は何年でしたか?

インフィル(内部資材)の床・壁・天井や、キッチン、お風呂場、トイレなどの耐用年数は何年でしたでしょうか? 20年~30年です。

いろいろな要因が結びつき、結果として

インフィル(内装)の耐用年数(20年~30年)=建築物自体(スケルトン)の耐用年数(木造なら30年)となる構造を招いています。

先程も書きましたが、定期的にメンテナンスさえすれば、建物は100年以上も持ちます。

100年以上住めるのに、高いお金を出して、1世代しか住まないって、もったいなくない?と思い、何世代も引き継いげる、又は売買の時にも価値が残せる、スケルトン・インフィルの建て方をお勧めしています。

沖縄のコンクリート住宅にスケルトン・インフィルという考えが、適している理由

  1. 耐久性と強度: 沖縄は風が強く、しばしば台風に見舞われます。コンクリートのスケルトンは、これらの自然条件に対して強い耐久性があります。
  2. 柔軟性: コンクリートのスケルトンを使用することで、インフィル部分(壁や窓)は比較的簡単に変更や修理が可能です。これにより、建物の寿命を延ばすことができます。
  3. 環境適応性: 沖縄の気候や環境に合わせて、インフィル部分の設計を変えることで、通風や採光を最適化し、快適な居住空間を提供できます。

メリット・デメリット

メリット

  1. 柔軟性: スケルトン(構造体)とインフィル(壁や窓など)を分けることで、建物の内部レイアウトやデザインを将来的に変更しやすくなります。これにより、建物の用途を時間の経過とともに変更することが可能です。
  2. コスト効率: 建物の構造体を変更することなく、内装のみを修正することで、リノベーションや修理のコストを削減できます。
  3. 耐久性: スケルトン部分がしっかりしていれば、建物全体の耐久性が高まります。これは特に自然災害が多い地域において重要です。
  4. 環境に優しい: 1番費用がかかってくる、既存のスケルトンを再利用することにより、新しい建材の使用を減らし、環境への影響を低減できます。

デメリット

  1. 初期コスト: スケルトン・インフィル方式の建物は、しっかりしたスケルトンを構築する必要があるため、初期コストが高くなる可能性があります。沖縄県内の大方の住宅が、コンクリート住宅ですので、費用的にはあまり変わらないのでデメリットにはなっていないかもしれません。
  2. 構造的制限: スケルトンの設計が将来の変更や拡張を限定する可能性があります。インフィルの変更が容易でも、スケルトン自体の変更は難しいことが多いです。
  3. デザインの制約: 骨格の強度を重視する建て方なので、シンプルな構造になります。デザイン性が高い建物は基本的に凹凸でデザインを付けていきます。デザイン性と、スケルトン・インフィル方式は相性が良くないです。

まとめ

スケルトン・インフィルの未来 沖縄の建築界では、スケルトン・インフィル方式がこれからの住宅建築において重要な役割を果たすと期待されています。この手法により、耐久性もありながらも、時間の経過とともに変化し続ける建物を実現でき、自分の子供、ひ孫の代まで建物を使っていくことが出来ます。

沖縄の自然環境に適応し、長期にわたって利用できる住宅を実現するため、スケルトン・インフィル方式は理想的な選択肢となると考えており、私の設計する建物は、標準的に、スケルトン・インフィルの考えが入っている建物を提案しています。事務所の由来にもなっており、沖縄の方々へ特にお勧めしたい考え方です。

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